生活困窮者への食糧支援を行う非営利団体コーリション・アゲインスト・ハンガーが、小売世界最大手のウォルマートから寄付を受けたことで、同社の方針に反対するニューヨーク市議会が、寄付金を返還するべきだと異例の抗議をし、話題となっている。
同社は以前より、従業員の低賃金や労働条件の粗悪さなどで社会から批判を受けているため、これに抗議する市議会51議員のうちの過半数が3日、「寄付は単に市民に取り入るための手段である」とし、寄付の受け取りに反対する書簡に署名した。
寄付を受け取った同団体の事務局長ジョール・バーグ氏は、「寄付金を返還するつもりはないし、返還するべきだとも思わない。我々が寄付を受ける際に問題となるのは、寄付する企業がどのようにその金を稼いだかではなく、その寄付金の使い道だ」と市議会による要求を非難した。
同社は昨年だけでも、市の飢餓とホームレスを支援する非営利団体シティー・ハーベストやワンハンドレッド・ブラックメンなど10数団体に約300万ドル寄付しており、12年11月に米東部を襲った大型ハリケーン「サンディ」後には、救援活動として50万本のミネラルウォーターと5000枚の毛布を、市の非営利団体に贈っている。
市議会議員の中には、寄付に反対することは市民の利益を阻害することになるとして、市議会の要求を非難する声も聞かれる。