連載723  英国はなぜコロナ規制をやめたのか? そうできない日本の集団主義の哀しい現実(上)

連載723  英国はなぜコロナ規制をやめたのか?
そうできない日本の集団主義の哀しい現実(上)

(この記事の初出は1月26日)

 英国がなぜ、コロナ規制を緩和したのかを考察し、いかに、日本の「マンボウ」(蔓延防止等重点措置)が馬鹿げているか、そして効果がないかについて述べます。
 現在、国をあげてオミクロン株の感染拡大に大騒ぎしていますが、事態を冷静に見るべきです。すでにコロナはエンデミックになっています。
 ただし、基礎疾患のある人間、高齢者は、これまで通り注意が必要です。とはいえ、これはどんな感染症でも同じことでしょう。

 

「マンボウ」が34都道府県に適用

 世界各国でコロナ規制規制が緩和されているというのに、日本では「マンボウ」(蔓延防止等重点措置)が拡大され、合計34都道府県に適用されることになった。27日から実施され、来月20日まで続く。ありえない措置だ。
 それにつけても思うのは、日本の政治の情けなさ。これまでのコロナ対策は、やることなすこと、ことごとく失敗している。こんなことなら、なにもしないほうがいいのに、今回(第6波)も、また、ジタバタしている。それが、とりあえずの「マンボウ」、飲食店いじめだ。

「マンボウ」は政府と政治家のアリバイづくり

 おそらく、政府と政治家には、なにかしなければいけないという強迫観念がある。なにもしないと国民にそっぽを向かれる。それが怖いのだろう。だから、まったく意味のない「マンボウ」をやる。政治家たちの度量が、あまりにも小さい。
 オミクロン株は弱毒化しているのがはっきりしていているのだから、かつてのスウエーデンのように放置し、集団免疫ができるのを待ったほうがいい。そういう判断ができない。
 「マンボウ」に関しては、これが、本当に効果があったかどうかは検証されていない。もしかしたら、まったく効果がなかった可能性がある。というのは、第5波がなんで収束に向かったのか、いまだにわからないからだ。
 それなのに、今回も「マンボウ」をやるというのは、政治家の「対策をやりました」というアリバイづくりとも言える。

英国がいち早く規制を撤廃した理由

 実際のところ、英国は、もう感染防止対策をやらないと決めた。これまで実施してきた規制を、いちはやく撤廃することを決めてしまった。ボリス・ジョンソン首相は、1月19日、議会に対し、イングランドで現在実施されている新型ウイルス関連の規制のほとんどを解除すると表明した。
 屋内でのマスク着用、リモート勤務、人が集まる場所でのワクチンパスポートの提示などの義務を撤廃すると述べたのである。
 そうして、今週、首相の表明通り、ほとんどの規制が撤廃され、英国ではフツーの生活が戻ってきた。
 この措置に対して、ジョンソン首相の人気取りという見方もある。ロックダウン中のパーティがバレて世論の批判を浴び、辞任の危機に追い込まれたからだ。
 しかし、本当のところは、科学的な所見に基づいた措置であり、その所見によれば、これまでのような強制的な措置は、オミクロン株に効果がないと判明したためだ。要するに、なにをやっても無駄。やらないで、成り行きに任せたほうがいいという結論に至ったのだ。
(つづく)

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山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 


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