工事用の足場が治安の悪化に NY市公営住宅住民が抗議

 ニューヨーク市住宅公団(NYCHA)が経営する東ハーレム地区にある公営住宅、トーマス・ジェファーソン・ハウスでは、4年前に取り付けられた工事用の足場について住民から苦情が寄せられている。ニューヨーク市警察庁(NYPD)が設置した防犯カメラの視界が遮られ、建物周辺の治安が悪化しているのだという。
 先月16日に同地で発生した発砲事件では、男性1人が死亡した。また、先週末にも建物の周辺で複数回にわたり発砲音が聞こえたとの報告が相次いだ。市警察は周辺地域の警戒態勢を強めている。
 不必要な足場が未だに撤去されていないことに住民が不満を募らせる一方で、NYCHA側は「市警察からは注意を受けていない」とし、さらに「足場は改装工事の実施期間中に住民の安全を確保するために設置しており、NYPDと協力はするものの、工事が終了する予定の来年まで撤去しない」と強調した。
 NYCHA経営の公営住宅では、4月にもブルックリン区で建物に設置されている工事用の足場をめぐり、住民から苦情が寄せられている。
 同公団は、これまでに何度も市内の公営住宅で工事用の足場を設置したまま放置しており、その度に税金が無駄遣いされている。 13年には12年より20%増の620万ドルが足場の設置に費やされた。