ニューヨーク州地方裁判所は21日、新規株式公開(IPO)によって何億ドルもの利益が失われたとして、エンパイア・ステートビルに出資する投資家が同ビルの管理者を相手取って起こした起訴を却下したと発表した。
却下の理由として同州地裁のシャーウッド判事は、両者は13年の5月にすでに同様の訴えに関して5500万ドルで和解しており、これにより原告が再び同じ内容で起訴を起こす権利を放棄したことになると説明した。
これを受け原告の弁護士を務めるジョン・ロジオ・ハミルトン氏は、同裁判所の判断に納得できないとし、今後の対応を検討するとコメントした。
13年12月にニューヨーク州地方裁判所に提出された訴状によると、エンパイア・ステートビルの管理者であるピーター・マルキン氏と息子のアンソニー・マルキン氏は、同ビルに対して現金で最大23億ドル、ビルの名義とリース権を所有するエンパイア・ステート・ビルディング・アソシエーツ(ESBA)に対して14億ドルの買収提示があったものの、これを拒否し、自らの利益を優先して10月に不動産投資信託ESRT社のIPOに踏み切ったとしている。
ESBAの株式を保有する2800人以上の投資家を代表し起訴に踏み切った原告側は、マルキン親子がエンパイア・ステートビルをESRTの信託財産に組み入れることにより、そのほか17の不動産物件の価値を水増しさせようとしていたと主張していた。