取り壊し計画乗り越え
ニューヨーク有数の歴史的建造物で3大ターミナル(ペンシルベニア駅、ポート・オーソリティ駅)のひとつであるグランドセントラル・ターミナルが2月1日で創設100周年を迎える。
現在、グランドセントラル駅にはニューヨーク州都市交通局(MTA)が運営する地下鉄67線が乗り入れており、ある純粋主義者(Purist)は「ただ通過するだけの“駅”ではなく、人や列車が世界へ向けて出発する“ターミナル”である」と称している。映画やドラマの撮影シーンなどでも度々登場するほか、毎日約75万人もの人が利用したり観光目的で訪れるなど、世界で最も人気の観光名所のひとつとして知られている。
だが、同駅は栄光の歴史ばかりを刻んできたわけではない。1960年代には高層ビルの建築計画が持ち上がったため、一時は取り壊しの危機に直面した。
メトロノース鉄道の職員で駅構内のツアーを長年行ってきたダン・ブルッカー氏は、「ターミナルは復活、想像、再発見、再生のストーリーを我々に語りかけてくれる」と、幾多もの苦難を乗り越えた歴史を振り返る。
同駅の前身である「グランドセントラル・デポ」は1871年、米実業家のコーネリアス・ヴァンダービルト氏が鉄道業に着手するため、42丁目〜48丁目とレキシントン街〜マディソン街の広大な土地を購入。その後、1902年に同駅に通じるトンネル内で2つの列車が衝突し15人の死者を出す大惨事をきっかけに、全電化鉄道にする大規模な再構築工事が行われ、13年2月2日に現在のグランドセントラル駅として開設された。
同駅の歴史を綴る手記には、「当時の鉄道産業のパワーと独占力を象徴する、素晴らしい建築物」と記されている。
66年の取り壊し計画は元大統領夫人、ジャクリーン・ケネディ・オナシス氏の猛反対もあり撤回され、94年には美しさを取り戻すため総工費5億ドルを掛けて一斉リニューアルが行われた。今日では高級レストランや小売店がテナントに入り、ヴァンダービルトホールは芸術やエンターテインメント、スポーツ、展覧会などさまざまなイベントが開催される全米有数の商業施設となった。
100周年を迎えるグランドセントラル駅だが、まだまだ進化を止めることはない。現在も82億ドルを投じ、地下に新たなターミナルを建築するプロジェクトが計画されており、今後も歴史を彩るさまざまなストーリーを我々に語り続けてくれそうだ。
グランドセントラル駅では2月〜5月に掛け、さまざまな100周年記念イベントが実施される。
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