第48回 OKONOMI

“NYは魚の街”ウマい魚で朝ごはん

 L線のロイマー駅から徒歩1分、5月にオープンした「OKONOMI」は、カウンターとテーブルを合わせて12席の小さな店。この店で食べられるは、ごはんに味噌汁、焼き魚が並ぶ「ザ・日本の朝食」だという。

器は全て同店のメニューに合わせた特注品

 「なぜ朝食?」と思いながらも早速いただきます。この日のメニューは「ロングアイランド産 黄甘鯛の塩焼き」「スイスチャードの白和え」「厚焼き玉子」「おしんこ」「玄米ご飯と佃煮」「オクラとネギのみそ汁」。…なるほど、素材がよければ余計な味付けをしなくても十分ウマいとはこのことか、と納得。香ばしくふっくらと焼かれた黄甘鯛は、ちょうどいい塩加減と魚の甘みが混ざり、魚そのもののおいしさが味わえる。副菜も素朴な味付けながら、噛むほどに食材の旨みがじわっと出てくる。ごはんに乗せられた佃煮やおしんこもすべて手作りで、そのやさし〜い味についつい実家を思い出し、和やかな気持ちに。

昆布、アオヤギ、トウモロコシの芯で出汁を 取った「夏野菜とナマコの煮凝り」

 「NYは魚の街。NY近海は日本近海に近い環境で、質のいい魚がたくさん取れる」と、元魚卸であり店主の原口さん。実は彼、昨年ハウストン通りのホールフーズに「YUJI Ramen」をオープンし、NYでのラーメンの普及にも大きく貢献した人物だ。さすがは魚のプロ、地元の魚を使うというコンセプトのもと、その日NY近海からあがった新鮮な魚を仕入れ、毎朝献立を考えるという。
 ディナーは旬の地魚をふんだんに使った「ラーメンのおまかせ」。素材選びに自信があるからこそ、無駄を出さずにその日の食材をすべて使い切る徹底ぶりがうかがえる。
 「自分は料理人じゃないから。魚屋がレストランをやったらこうなった」という、無駄を省いた究極の形。それがシンプルな「朝食」なのか、とようやく合点。実はこれこそが一番の贅沢なのかも知れない。
 こんなにきちんと〝食事〟をしたのはいつ振りだろう? と普段の食生活を反省しつつ、「この一食でもなんだか健康になれた気がする!」と足取り軽く店を後にした筆者である。

OKONOMI
150 Ainslie St. Brooklyn(bet Lorimer St & Leonard St)
ramenomakase@gmail.com
月・火:11am〜11pm、水〜金:9am〜2pm
土・日:10am〜4pm
※月・火はYUJI Ramen ※水〜日のディナーは予約制