10月11日にマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)でのコンサートが決定したX Japan。1989年のデビュー以来、日本のビジュアル系ロックバンドの先駆者であり続け、また類い稀なる才能を惜しみなく発揮し、多方面で活躍するリーダーのYOSHIKIさんに、MSG公演に向けた想いを語ってもらった。
プロフィール
ロックバンドX Japanのドラマー/ピアニストであり、音楽プロデューサー。そのほか複数のバンドやソロでも活動。ソロとしては「天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典」のための奉祝曲やゴールデングローブ賞の公式テーマ・ソングを手掛けるなど、日本を代表する音楽家として世界で活躍する。2014年には「YOSHIKI CLASSICAL WORLD TOUR 2014」で10ヵ国全14公演におよぶツアーを成功させ、10月11日にはX Japanとしてニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでのコンサートを控えている。
―ニューヨーク公演おめでとうございます。今の率直な感想をお願いします。
気持ち的に盛り上がってると同時にやはり少し緊張もあります。結構コンサートの数はこなしてきたんですが、やはり以前に東京ドームでやったようなフルのプロダクションをこっちに持ってくるというので。今日もMSGに行ってきたんですけど、色々細かくて。ドラム台がどこまで上がるのかとか、近くのお客さんも遠くのお客さんも楽しめるようにするにはどうしたらいいだろうって考えていて。ただ、相当派手なショーになると思います。
―見る側からは想像もつかない細かな設定がたくさんあるんですね。
そうですね、ただX Japanのショーっていつも、その場でお客さんと一緒につくり上げるというか、結構綿密に計算された部分と全くされてない部分というのが融合されているんですよね。それがまた面白いというか、予想のつかない展開になったりもするんです。
―2010年のローズランド・ボールルーム公演から今回はMSGにスケールアップしていますね。
前回(ローズランド)は、すごく手応えがありましたね。あの時は西海岸から東海岸に回ってきたんですけど、日に日に自分たちでもよくなっていくのがわかって、それがニューヨークに来て爆発したみたいな。あまり計算されていると、それって本来ロックの持つ偶然起こるようなことが起こらなくなったりするんで、今回は両方できるようなショーにしたいですね。その場でしかできないようなこと、突発的に思ったことをやりたいですね。
―いろんな偶然が重なるんですね。
X Japanて自分で言うのも変ですけど、すごくドラマがあるというか。もうありえないぐらい。それをポジティブに気持ちを変えていくしかない。HIDEやTAIJIが亡くなってしまったり、TOSHIはね、洗脳されたことがあったり。いろんなことが本当にすべて重なった上でのX Japanというか。そういうことを経験してきて、それでも前に進んでいこうって頑張っているので。ピアノでもドラムでも一音一音魂を込めてやっているつもりですね。それが伝わるショーにしたい。
―米国でライブをするということに何か思い入れはありますか?
アメリカ(LA)に長く住んでいるので、やはり自分のいる国の人たちに認めてもらいたいという気持ちはありますね。日本人として、アジア人として、こっちに出てきて成功することが不可能とは思わないですけど、簡単なことじゃないっていうのは分かっているので。
―ソロとX Japanでの活動ではかなり違った印象を受けますが、何か意識的に変えていますか?
自分の中では、X Japan的な部分って元々あったと思うんですね。特にバンドを始めた頃はとてもアグレッシブな部分を表現していたけど、実はソフトな面も持っていて。それを今回のクラシックツアーで出すことができましたね。最初の方なんて、クラシックツアーでいろんな国を周っていて、「YOSHIKIさんてこんなに喋るんですね」って。ショックでしたよ(笑)。そんなにイメージ悪いですか?って。クラシックコンサートの場合、お客さんとの対話もできるし。X Japanでは、時には一方的にワーって。それも好きですけど、今回のクラシックツアーの経験も特にMSGには活かしていきたいですね。
―ワールドツアーなどハードなスケジュールの中でどうやってリラックスしていますか?
赤ワインが好きなので、寝る前に赤ワインを飲むのがすごく楽しみですね。あと最近飛行機が嫌いじゃなくなった。機内って意外に何もできないじゃないですか。でも最近Wi-Fi付いているからなぁ飛行機に…(笑)
―仕事になっちゃいますね。
付いてなくていいですよね(笑)。電話が来ないとか、そういうのがやっぱりストレスにならないじゃないですか。でも結局飛行機で作曲もしますね。結構譜面で書いちゃうタイプなので。楽器があったら楽器を弾きますけど、譜面で書く場合ってどんな音でも楽器でも鳴らせますし、あまりリミットがないので。
―すごい。楽器といえばニューヨークではサブウェイの中でバケツなんかをひっくり返してドラム演奏する人とかいますよね。
バケツ? それ面白いなぁ~。ロンドンの駅にはアップライトピアノが何台か置いてあるんですよ。で、ちょっとタララ~って弾いたら人が集まって来て。そういうのを弾いたりもしました。チャイコフスキーとか。
―ツアーでいろんな国に行かれて、印象的だったところは?
ロンドン、パリ、ベルリンとか、前回X Japanでは行きましたけど、今回モスクワは初めてでした。あと、北京にも行きました。北京では、違った意味で国と国のテンションが高まっていた時期でしたけど、すごく温かく迎えていただいて。北京で日本の大使と食事をする機会があって、やはり日本のイベントを行うのが大変な時期だったので「YOSHIKIさんすごく順調にいきましたね、本当にありがたいですね」って話していたんです。本当に音楽とか芸術は、垣根を越えられるんじゃないかなって。以前天皇陛下への曲を書いた時は、色々思想論とか言われましたけど、あくまで音楽家としてやらせていただくので。モスクワでも、今ロシアといろんな国のテンションが高まっていますけど、音楽家であるがゆえに普通に駆け抜けられて普通にみんなと接してっていうのは、すごくいい経験だったし、音楽の力で世界をひとつにしていけたらなって本当に思いましたね。
―NPO活動もされていますけど、やはりそれも音楽の力が働いているんですね。
そうですね。人のことを助けることによって自分が救われるっていう気持ちなんですよね。
―YOSHIKIさんの音楽で救われている人は多いと思います。
うれしいですね。
―日本に帰って必ずすること、行く場所はありますか?
日本だとあまり出かけられないので、ジムですね。結構トレーニングするので。コンサートは想像以上に体力がいるから体はすごく鍛えてますね。それもステージの一部というか。三カ月前からコンサートは始まっていると思っているので。
―さまざまなアーティストさんとのコラボも経験してきて、これから絡んでみたい方などは?
やはりちょっと別ジャンルというか、エレクトリック・ダンス・ミュージックとか。もしくは、全然音楽とは違う芸術家の方とか。先月パリでそういうイベントがあったんです。僕は即興演奏でピアノを弾いて、その時その場で絵を描くみたいなことをやってましたね。結構面白かったなぁって。そういうことにも挑戦していければいいですね。
―以前Marvel Comicsのスタン・リーさんとコラボしてアメリカンコミックスのキャラクターにもなっていましたが、音楽以外でファンの皆さんが喜ぶような活動の予定は?
MSGが10月11日なんですけど、その前日にスタン・リーさんと、それのさらに発展系の何かをアナウンスをする予定なので…。
―楽しみですね! では最後に、MSGのコンサートを楽しみに待っているファンの方々にメッセージをお願いします。
自分たちにとっても、とても意味のある、ある種自分たちの歴史に刻まれるものになると思っています。なのでぜひ見に来て欲しいですね。必ず感動を与えるコンサートにします。