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共同通信
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日銀の黒田東彦総裁の「値上げ許容」発言に対し、根拠が薄いとの見方が9日、有識者の間で広がった。黒田氏は東大教授のアンケート結果を挙げたが、引用は自らの主張に沿う一部だけ。コロナ禍の行動制限で積み上がった「強制貯蓄」にも言及したが、低所得者層では増えていないことには触れなかった。
日銀が続ける大規模金融緩和は、円安による物価上昇を招く側面もあり、家計の反感を買えば政策運営に支障が生じかねない。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「黒田氏は根拠が薄い割に前向き過ぎた。発言を撤回したが、最初から丁寧に説明するべきだった」と語った。