ニューヨーク市消防局(FDNY)に所属する唯一のトランスジェンダー消防士である女性ブルーク・ グイナンさん(27)が、LGBTサポート団体のグローバルキャンペーン「So Gay So What」のモデルに選出され、勇気を讃える彼女への応援メッセージが世界中から届いている。
このキャンペーンの中で、彼女は手を腰にあてて、消防士の道具をまとい「So Trans So What」と書かれたTシャツを着用している。団体の創設者によると、9月24日のキャンペーン開始以後、ツイッターやフェイスブックなどのSNSで6000以上シェアされるなど、創設以来もっとも人気のキャンペーンになったという。
グイナンさんはクイーンズ区アストリア在住で、このエリアの消防署に所属し、祖父、父親から3代続く消防士の家系。消防士として働くことの意義を問い、差別撲滅に協力するため、同キャンペーンへの参加を決意した。
彼女によれば、消防士がストレートの男性の職業であるという社会の固定概念が強く、トランスジェンダーが消防士や警察官、政府の要職などに就くのは非常に難しいだけでなく、差別によって職を失ったり、ホームレスとなったりする例があとを立たない現状を打開したいと考えている。トランスジェンダーの失業率は、全米人口と対比して、およそ倍となっている。
FDNYに所属する10200人のうち女性消防士はたった41人で、近年同局の人種やジェンダーに関する多様性の欠如が問題となっていた。しかし、同局はグイナンさんを地元の消防士としてだけでなく、本社の人事部門での役職を与え、今回の活動も全面的に支援している。