アマチュアによる落書きから芸術性に富んだ壁画まで、ニューヨークの街並を彩るグラフィティアートだが、過去一年に寄せられた苦情件数が前年比プラス16%だったことが分かった。
1970年代のヒッピー文化と共に感情を表す芸術として人気に火が付いたグラフィティアート。1980年代には著名な画家、キース・ハーリング氏がグラフィティアートをモチーフにした作品を発表するようになると、その人気は世界中に広がった。
しかし、自由思想を発信する芸術である一方、人々の土地権の侵害にもなることがあるため、市はこれまでも落書き対策に頭を悩ませてきたが、今年は前年の1万3000件より16%多い1万5000件の落書きに対する苦情が寄せられた。苦情がもっとも多かった地域はローワーイーストサイドやウィリアムズバーグで、市は苦情が増加した理由は不明としているが、アーティストの聖地として知られる地域が知名度上昇を狙うグラフィティ画家たちに人気なのではないかとみられている。
グラフィティ作品については、「自分の気持ちをはっきりと表すグラフィティは街並に命を吹き込むれっきとした芸術だ」と話す人もいれば、「風景を汚す落書きでしかない」と批難の目を向ける人も多くいる。市は警察と連携して効果的な落書き対策案を施行したいと話している。