第56回 Flight

地元ニューヨーカーお墨つきのアメリカン

レモンの酸味が特徴のシーフード パスタ「カッペリーニ・フロレンティーン」

 「今日は寒いし、早く帰りたいなぁ…」と足取りが重い雨の日。レストランでの食事が楽しみな反面、外を歩くのが正直だるかった。そんな日に訪れたのが、アッパーウエスト78丁目の「Flight」。やわらかい照明がライトグレーの柱やウッドフロアに反射して、暖かい雰囲気だ。
 なすのディップでいただく薄いピタのようなパンからスタート。初めは何かわからなかったが、非常になめらかで香ばしく、ナスがこんなにうまいとは。次に出てきた新鮮な野菜を使った「スピナッチサラダ」は、大きめにカットされたゴートチーズが主役。ゴートチーズは苦手な人も多いが、同店ではこれをたっぷりのクランベリーでコーティングしており、甘酸っぱさと濃厚さがマッチング、臭いもさほど気にならない。
 数種類のアペタイザーを満喫したあとは、パスタの登場。「カッペリーニ・フロレンティーン」は、ガーリックの風味とサン・ドライド・トマトがアクセントになっている。カッペリーニとは非常に細い種類のパスタのことで、白ワインとレモンの爽やかなソースとの相性も◎。

タイカレーに近い味付けの ソースでいただく「ムール貝」 もおすすめ

 ディナーの最後は「ハウスメイド・アップルタルト」で締めくくる。筆者は火を通したフルーツが苦手なため、この類はあまり得意ではない。しかし一口食べて驚いた。酸味の効いたリンゴはまったく火を通したフルーツ特有のクセがなく、スイスイと口へ運ばれすぐに無くなった。むしろもうひとつ食べたいくらい。 

「ハウスメイド・アップルタルト」。 これだけを目当てに訪れる人も


 この日いただいた7品は一見どれもよくあるシンプルな料理だが、実際に食べてみると、ここそこに工夫がなされているのを感じた。また、同店では季節によって変わるドラフトビールが常時16種あり、その日の気分や食べたいものに合わせて選べるのも魅力だ。
 印象的だったのは、近所の常連客が多かったこと。ファミリーや老夫婦がちょっと外食に、という感覚で食事をしている光景が何とも微笑ましく、ほっこりした気持ちにさせてくれるレストランだった。店内の白いクリスマスツリーを眺めながら、気楽に食事を楽しんでみては。(編集部D)

Flight
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