レストランにとって1日たりとも同じ日はありません。
ニューヨークのトップレストランの一角を成す「ジャン・ジョルジュ」。アジア料理の影響を受けたフレンチ折衷料理の店として1997年に創業するやいなやニューヨークタイムズ紙で4つ星を獲得。以来、ダニエル・ブリュ、デイビッド・ブーレーと並ぶフレンチ御三家として君臨してきた。
そのジョルジュ氏が全幅の信頼を寄せるのがエグゼクティブシェフのマーク・ラピコさん。カナダはオンタリオ州スーセントマリー出身。両親はヨーロッパからの輸入食料品店を経営。幼い頃から1日の大半を祖母とともにキッチンで過ごし、毎週末には家族と親戚合わせて20人以上が祖父母の家に集まりテーブルを囲むなど「食」と深くかかわりながら育った。「外食は特別な日だけ」という小さな町でシェフを志すのは異例のこと。ロースクールへの進学を勧める両親の期待を振り切ってトロントの料理学校へ進学、ヨーロッパのレストランで修行を積んだ。
ジャン・ジョルジュには現在、世界中から50人以上ものシェフの卵たちが集まり切磋琢磨している。「食材は毎日変わる、新しい出会いがある、技術やアイデアも…ここでは1日たりとも同じ日はない。だからすごくエキサイティング」。
毎日帰宅が遅いため自宅で料理はしない。店から近くて遅くまでオープンしている「ブルーリボン」と「すし石」がお気に入り。土曜にはグリーンマーケットに出かけ、日曜のディナーにはほぼ毎週友人を招いて腕を振るうという。
「今、一番興味があるのは日本料理。これまでにゲストシェフとして2度東京に出張しましたが、次回はプライベートで訪れ、地方の食材巡りの旅をしたいですね」
シェフのとっておき
ジャン・ジョルジュの厨房でも使っているおろし金。チーズやチョコレート、レモンやゆずの皮をはじめ野菜にも使え、スノーフレークのように軽く削れるのが特徴。ウィリアムズ・ソノマやターゲット、アマゾンなどで購入できる。