ニューヨーカーは、チップ・クリープ気味ではないだろうか。チップ・クリープとは、大金持ちなのかあるいはモノの価値が分かっていないのか、はたまた単に計算が苦手かできないのかは不明だが、周りが気味悪く(クリープ)思うほどにチップを置く人たちのことである。
世界的に優れた店が集まるニューヨークでは、飲食店がしのぎを削る。サービス業者はチップで生計を立てている。かつ世界でも有数の観光地でもあるため、チップ文化の要領を得ない客も相手にする必要性も出てくる。チップ金額の目安が勘定書に書かれているのは計算を易しくするのに役立つとしても、“クリーピーなチップ額”を要求されたことはないだろうか?
例えば、タクシー。メダリオン(登録)タクシーに乗り、カードで支払いをしたことがある人なら知っているはず。タップする画面に出ているチップは20%からなのである。自分で計算し好きな額を入れる画面もあるのだが、どうしても時間がかかるので、降りた際に別の車のクラクションのシャワーを浴びずに済むなら、画面の提示額をタップするのがもっとも良い方法に思えてくる。
そしてこのほど、ニューヨークタイムズ紙やゴッサミストが論じているのは、カフェ・グランピーの例。カードで購入すると4ドルのコーヒーに対して提示額が1、2、3ドルなのである。1ドルで25%のチップだ。よっぽど気に入った店でしか払わない金額だ。そもそも20%が当たり前になっているニューヨークが世界でみたら、よく払っている方なのである。先週、カフェグランピーを訪れた日本人女性は「驚いた。後ろに列ができていたら1ドルを押していた」と述べている。後ろに並ぶ人をご機嫌ナナメ(グランピー)にさせないスマートなチップの支払いをできるようになったら、一人前のニューヨーカーといったところか。