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2015.11.12 COLUMN

ファッションライターあやこんぶの“おしゃクロ!” Vol.13 食わず嫌いを克服!? 未来の栄養、昆虫を今こそトライ!

 省資源で環境破壊にも影響を及ぼさないうえ、牛肉以上のタンパク質を有する新しいタンパク源、〝コオロギ〟が今、ヘルス/フィットネス業界で注目されています。国連食糧農業機関(FAQ)も「人口増加に伴い昆虫食が人類の食に貢献する」という見解を発表。先を見据えた起業家たちはKickstarterを通し資金を獲得し製品化した「イクソ・プロテイン」や「チャプル」など、さっそく粉末状にしたコオロギ入りのプロテインバーを始め、さまざまな栄養食が続々と登場しています。

Chapul(右から)Chaco Bar、Thai Bar、Aztec Bar、Matcha Bar 同種12個で34ドル、各種1個ずつの4個で12ドル


 昆虫食というとゲテモノ食というイメージが否めないのですが、未来を担う栄養食をトライせねばと、われらがデイリーサン編集部にて試食会を実施! 今回トライしたのはしっとり系の食感が特徴の「チャプル」。文明や土地をテーマに斬った個性的な4つのフレーバーがお目見えしています。コロラド川流域のチャコ族にインスパイヤされたピーナツバター&チョコレート味、ココナツにジンジャーとレモン味のタイ風味、ダークチョコレート&コーヒーにカイエンペッパーが入ったアステカ文明からアイデアを得た味、抹茶とゴジベリーに海苔の入った日本風味。「イナゴの佃煮なら幼い時に食べていた」という人でさえもやや難色を示すものの、前者の2つのフレーバーは昆虫だと自覚さえしなければ、意外にイケると人気。アステカ風味は「カイエンペッパーの辛みとチョコが合わない」、日本風味は「海苔風味が〝ごはんですよ!〟を思い起こす」という言葉もあったものの、われわれ日本人の味覚には刺激と冒険度が強いもの。コオロギ自体の虫っぽさはスパイスでほとんど消えているので、昆虫感を過剰に意識しなければ、食べられなくもありません。
 CricketFlours.comではコオロギ粉末そのままをも販売。小麦粉の代用として料理に使うかと思えば、迷ったらあらゆる方法で味を試せとばかりに、実際にスムージーやパンケーキ、マフィン、チキン料理といったレシピを公開しています。
 この流れをいち早く捉えていたのはレストラン業界。ミシュラン2ッ星も獲得したコペンハーゲンにある北欧料理の名門店Nomaでは、3~4年ほど前から生の海老に長野産の生きたアリを施した料理を提供していました。ニューヨークではイーストビレッジにあるモダンなメキシカンレストラン、その名も「ブラック・アント(黒アリ)」が有名。塩とともに潰したアリをグラスの縁に塗ったメキシカンカクテルや、トルティーヤの上にバッタのソテーが惜しげもなくのったタコス。食わず嫌いと言っている余裕のない時代が来る前に、今のうちに食しておけば食糧難も恐くない!?

炒めたバッタののったタコス、Tlayuda con Chapulines 14ドル

Chapul www.chapul.com
Black Ant theblackantnyc.com

フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
www.ayakomboo.com
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。

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