ニューヨーク市の地下鉄や公園から採取された細菌から、その地域に住む人の人種や生活習慣が分かるということが、このほど新たな研究で発見された。
これは、ウェール・コーネル医科大学の研究者、クリストファー・メーソン博士が行った調査で、ニューヨーク市の地下鉄のベンチや回転バーの表面をナイロン綿棒でこすり、DNAを採取した。集められたサンプルは100億個にものぼり、分析の結果、そこに住む人々の生活習慣や周囲の環境が浮かび上がってきた。
ハリケーン「サンディ」の被害にあった地下鉄からは海底に生存する細菌が採取され、また別の駅では炭疽菌や疫病に関連する細菌も発見された。採取された菌の内、半分は未確認の細菌であったが、メーソン博士は「疫病に似た細菌ではあるものの、確実に疫病や深刻な健康被害を起こす菌ではないので、心配する必要はない」と説明している。
「市民にとって危機となり得る細菌の生息地域を把握し、万が一に備えてデータを集めている」とメーソン博士が話すように、今回の調査は採取した細菌を使って病気の発生を追跡するDNAマップの作成を目的としている。また、データを活用し、細菌テロ攻撃を察知するシステムの開発も進めるという。