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ニューヨークでのショッピングではセレクトショップが意外にも少ない。誰もがオンラインで好きな商品に狙いを定めて安く買うこともできる今だからこそ、ちゃんと世界観を表現した店舗には定期的に足を運んでワクワクしたくなります。
私が気になるのはテーマのある郊外の店。いつかは行ってみたいと思っていたのは、フィラデルフィア郊外のパオリという小さな町にあるトローブ・ジェネラルストア。ニューヨークから約3時間車を走らせ、期待に胸を高鳴らせ足を踏み入れると、その店内の広さと品揃えの豊富さ、セレクトへのこだわり、居心地の良さに驚きました。毎日着られるメンズに加え、シンプルかつボーイズライクなウィメンズの服のセレクトは、肩肘張らない等身大のセンスが光ります。店内を埋め尽くすのはペンドルトンのブランケットWoolrichをはじめ、アウトドアにも多用できるクオリティの高いウエアや、クックブック、日本発のブランドSnow Peakも店頭に出るとすぐに売れるという人気だとか。
バイイングと店のイメージ作りを手がけるオーナー夫婦、フォスターとシャーロットふたりのライフスタイルは、店のイメージそのもの。マンハッタン生まれブルックリン育ちでこの地に移り住んだフォスター、地元で生まれ育った笑顔のとびきりキュートなシャーロットの夫婦に共通したのは馬のいる暮らし。ふたりは馬小屋のある広大な牧場の側で、17世紀に建てられたカントリーハウスを改築した家を丁寧に直し、仲良く暮らしています。フォスターは虐待を受けた馬など、正しく育てられなかった問題のある馬たちを時間をかけて元のあるべき姿にトレーニングしていくのがライフワーク。「ナチュラル・ホースマンシップ」として、馬の習性や性質を理解し、個性や性格を重んじながらスキンシップを図り、馬の傷ついた心を癒していくという根気のいる作業です。カウボーイハットにカウボーイブーツ、ラングラーのジーンズを履き潰しながら店と牧場を行き来するのが彼の日常。店に立つのは主にシャーロット。Red Wingのエンジニアブーツにデニムにシャンブレーシャツをボーイズライクに着こなし、にこやかに地元の人と触れ合います。
ブルックリンのセレクトショップを覗くのもいいけれど、たまにはアメリカ郊外まで車を走らせて、そのルーツを目にして、価値を噛みしめるのもいいものでしょう。
Trove General Store
82 E Lancaster Ave, Paoli, PA
Tel (484) 320-8628
www.trovegeneral.com
フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
www.ayakomboo.com
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。
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