性犯罪前科者の居住制限 地方自治体に権限なし

 ニューヨーク州上訴裁判所は17日、性犯罪の前科を持つ者が学校から1000フィート以内の距離の居住を禁止する条例を無効とする判決を満場一致で下した。これは、2006年にナッソー郡で制定されたもの。
 01年に児童ポルノの所持で有罪判決を受け、22カ月間服役した経験を持つマイケル・ディアックさんが08年、500フィート以内に2つの学校がある場所に引っ越したことで、条例違反として起訴されたことに対し起こした裁判に対する判決。
 州法では、最高レベルにあたるレベル3の性犯罪者で且つ執行猶予または仮釈放中にある者は、学校や託児所から1000フィート以内の居住を禁じているが、ディアックさんは危険度の低い「レベル1」と登録されており、引っ越し当時に執行猶予はすでに完了していたという。
 裁判所のユージーン・ピゲット判事は判決文の中で、「州の憲法に矛盾する地方条例を制定することにより、その権限を行使することは禁止されている」とし、「ディアックさんの行為は州が定める規定に抵触していない」と述べた。
 全米の100以上の地方自治体で、公園や学校など子どもが集まる場所の近くに性犯罪の前科を持つ者の居住を禁止する条例が制定されているが、同判決が先例となり将来の判決に影響を及ぼすものとみられる。