授業用の遺体が欲しい 葬儀学校が市を提訴

 マンハッタン区の葬儀学校が5日、ニューヨーク市を相手取り、授業で使う遺体の提供を求めて高位裁判所に提訴した。
 全米最大の葬儀学校の1つであるアメリカン・アカデミー・マカリスター・インスティチュート・フューネラル・サービスは以前、市検視局に隣接するベルビュー・ホスピタルの地下で「死体防腐処理」の授業を行っていたが、2012年にハリケーン・サンディの被害にあいハーレム・ホスピタルに移った。だが、同院には遺体保存用の冷蔵庫がないため、授業で使用された遺体を検視局に返却する必要があり、この作業に約4時間を要していた。検視局は昨年6月、50年前から続けられていた遺体の提供を停止したため、学校側はこれを再開するよう求めている。 
 「死体防腐処理」は、職業訓練による準学士号取得過程の必須科目であり、オンライン科の生徒を含む全ての生徒は、学位取得のために最低10回の臨床実習を受けなければならない。一方で、遺体がないと授業ができないため、卒業生が経営する葬儀会社に頼み、夜間や週末の2時間で授業を行っている状況だという。
 学校側は、市は遺体を葬儀場や大学医学部に直ちに提供することを定めるニューヨーク州の法律に違反していると主張している。