オランダの民間非営利団体マーズワンが主催する火星に人類初の永住地を作る計画で、火星移住希望者最終選考の100人に残った唯一のニューヨーク市出身の女性がこのほど、その心境を語った。
同計画は火星への片道旅行で地球に戻ることはできないが、ロングアイランドのフォート・サロン出身のローレル・ケイさん(21)は、「地球にいても火星にいても、人はいつか死ぬ。火星で死ぬとは考えず火星で生きて行くと考える」と、誕生日を祝いに訪れていた同市内にある自然史博物館のへイデン・プラネタリウムで語った。
マーズワンは、実業家バス・ランズドープ氏により2011年に設立され、世界中の注目を集めたが多くの批判も浴びている。計画実現には60億ドルの資金が必要だというが、これまでに100万ドル未満の個人寄付しか集まっていないという。
理論通りであれば、太陽光発電によりエネルギーを生み出し、地中の氷から水や酸素を発生させることが可能だというが、基本的に火星には空気や食物がない。しかしケイさんは、「空気や食物がないことさえ除けば、火星への旅は新大陸を発見した15世紀のヨーロッパの探検家のようなもの」と米紙デイリー・ニュースのインタビューに答えている。
ケイさんは、子どもの頃から宇宙飛行士になるのが夢で、物理学と化学を学ぶデューク大学を今年卒業する予定。「失敗したとしても学ぶことは多い。誰かが道を開かなければ何も起きない」とも語っている。