TAX SPECIALIST羽山 徹の税金をはじめとしたお金の話あれこれ Vol.6 会社員並びに個人の事業主が利用できる 「退職後用積立口座(Retirement Plan)」パート②

問1:会社がRetirement Plan を導入していない場合、自分で給与の一部を積み立てていく口座は他にありますか?

解答:IRA(Individual Retirement
Account)という退職後用積立口座がそれに当たります。IRAには二種類あります。Traditional IRA(以下、T-IRA)とRoth IRA です。

問2:二つの種類の内、一つだけを選ばなければならないのですか?

解答:いいえ、両方の口座を開けて、それぞれの口座に積立しても構いません。ただし、それらの積立合計額が、50歳以下の方の場合は、年間最高5500ドルまでと決まっています(50歳超の方は6500ドルまでです)。口座を開設したら、毎年必ずそれぞれの口座に積立をしなければならない、というルールはありません。額は毎年の制限内で自由に決められます。

問3:私は専業主婦(主夫)で、働いていないため、給与収入がありません。やはり口座を開けて積立をすることは出来ないのですか?

解答:原則上、この積立額は給与の一部です(給与収入がないと口座に積立が出来ません)が、ご夫婦の場合のみ例外が設けられています。すなわち、お二人が夫婦合算申告(Married Filing Jointly)をすることで、収入のある配偶者はもちろん、もう片方の配偶者が無収入(専業主婦(夫))の場合でも、ご自分の名で口座を開設して積立・運用していくことが出来ます。これを「Spousal IRA」と呼びます。

問4:毎年口座への積立ができる期間は限られているのですか?

解答:各年度の積立は、1月1日から翌年の4月15日まで出来ます。従って、例えば、2015年の1月1日から4月15日までの間には、2014年度と2015年度とを合わせた積立を一度にすることも可能です。

問5:二つのIRA口座のそれぞれの共通点や、相違点を教えてください。

解答:先ず両口座の一番の共通点は、各々で発生した運用益(利益分、増加分)は、「繰越課税(Deferred Tax)」制度が適用されています。すなわち、これら運用益は、口座から引き出されるまで、毎年確定申告書では課税対象の収入とは認識されません(収入項目への計上不要)。従って、IRA口座の運用益は、投資口座(Brokerage Account)や銀行の口座とは違って、毎年申告して税金を払うことなく増えていきます。

問6:ではIRA口座の運用益は、最終的には税金を払う必要のない「非課税」となるのですか?

解答:「非課税」ではありません。あくまでも、口座開設して引き出されるまでの期間、本来払うべき税金を払わないですむ、という事です。従って、退職後に口座から運用益を引き出す時に、他の収入に加えて税金(所得税)を払う形となります。但し、退職前、具体的には59・5歳未満に、運用益が口座から引き出されると、その額については、所得税に加え、額の「10%分のペナルティー」を払わなければならないルールも定められています。さらに、Roth IRAの運用益には、「非課税」になる特別のルールが設定されています。
以下、次号に続く


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