ほら、やっぱり!
数カ月前、妹の一人が私を訪ねて来ました。姉妹の中で彼女だけが、成長過程に歯列矯正の経験を持っています。小顔の割りに歯が大きいため、歯同士が混み合い、ねじれるなどして生えていたのを憶えています。その後、数本の抜歯と矯正治療により、彼女の歯は真っ直ぐになりました。ところが、治療後のリテイナー装着を怠たったために、再び歯列は乱れ始め、もう一度矯正治療をやり直すことに。そして二度の治療の後、彼女の歯並びはとても美しくなりました。
矯正中に一番大切なことは歯間を清潔に保つことです。そうしないと、虫歯の原因を作ってしまう可能性が高くなります。案の定、妹も前歯に虫歯を作り、その詰め物が染みで濃くなり少々目立っていました。
さて、その妹とレストランでランチをした時のこと。私達は小さなテーブルを挟んで腰を降ろしました。昼食を取りながら喋ったり笑ったりしているうちに、ふと自分の目が彼女の歯にばかり行っていることに気付いたのです。「なんて素晴らしい笑顔なの!」と。けれど…ちょっと待って…見慣れた彼女の歯ではないではありませんか。あら、ベニヤ?そして思わず「歯、直したの?!」と大きな声で尋ねてしまいました。彼女は慌てて辺りを見回すと、声をひそめて「してないわよっ!」と返してきました。ふぅーん、気のせいだったのかしらと再び彼女の歯を眺めながら〝私の勘違いかも知れない〟と思い始めていました。彼女の歯は、私の記憶にあるそれよりもずっと綺麗だったのかも知れない、と。
ところで「ベニヤ」は、前歯の表面から歯の先端を覆うような形に作られた薄い瀬戸物で、それをセメントで貼り付けるというものです。前歯の大きさや形、色合いもお好みで変更できます。古くからある治療法で、たったニ度の通院で自然で清潔感のある歯を手に入れることができます。自信に満ちた笑顔を手に入れ、まるで映画スターにでもなったような気分を味わえるかも知れませんね!
さて、楽しい食事を終え、ニ人揃って化粧室へと向かいました。並んで手を洗いながら彼女の歯を覗き込み、「やっぱり直したんじゃないの! 私が憶えている歯とは違うわ。」と話しかけると、「あぁ、これね。さっきは何のことやらさっぱり分からなかったわ。」と妹はうそぶいている様子です。直ぐさま「そうだと思った。どんなに素晴らしく自然なベニヤだって、一緒に過ごしてきた家族の歯を忘れるわけないもの。それに何より私は歯科医なのよ! 本物か作り物かくらいの区別はつくわ」と言い返し、二人で笑い合い、私には分かっても、他人には分からないわよ、と付け加えました。
Waterside Dental Care
Dr. クララ・リーClara Lee, DDS
ニューヨーク大学歯学部卒業。ニューヨーク大学ブルックデール病院でチーフレジデントを経て、13年以上にも及ぶ臨床経験は、一般歯科、コスメティック、インプラントを含む。インビザライン認定医。Waterside Dental Care医院長として古山医師と共に、多くの日本人患者を治療。Dentistryをこよなく愛している。
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