グーグルのCFO(最高財務責任者)パトリック・プシェット氏(52)が先月、「家族とより長い時間を過ごすため」引退すると表明した。
多忙ではあるが高額の報酬を約束された企業幹部の仕事を早々に手放し、家族と時間を過ごす道を選ぶという選択は多くの人にとって多少の驚きを持って受け止められたが、ニュージャージー在住のビル・バンバーニックさん(41)にとっては至極当然のことに思われたという。
バンバーニックさんも数年前までは、音声技術企業アルティーバのCEO(最高経営責任者)として52人の社員を抱え会議や出張で忙しい日々を送っていた。1999年に同社を興し、毎日早朝から夜遅くまで働き続けた結果会社は大きく成長し、自身も30万ドル以上の報酬を得るようになった。しかし、3人の幼い子どもの成長を見守ることができず、家事をすべて妻のミーガンさんに任せっきりにすることに疑問を持ったバンバーニックさんは、2011年に同社が買収の提案を受けたことを機に、36歳の若さで第一線から退くことを決めた。
同社の買収額1730万ドルの大部分を受け取ったバンバーニックさんは、以来コミュニティ貢献型の農場を経営し家族で農業に携わっている。これまでに200万ドルを投資し、人を雇い、家族と共に果物や野菜を作り、直売所を運営している。
米紙ニューヨーク・ポストのインタビューに対し、バンバーニックさんは「農場経営は楽ではないし儲かるものでもないが、家族と一緒に過ごせる時間が増えたので、子どもたちの成長に深く関わることができる。さらにストレスレベルはほぼゼロだ」と語っている。