MTAが政治的広告禁止 暴力煽る可能性懸念

 ニューヨーク州の都市交通局(MTA)は4月27日、広告規定を改正し、地下鉄駅やバスの車体などへの政治的な広告の掲載を一切禁止とすることを決定した。
 エーエム・ニューヨークによると9対2で可決された改正規定は、即時施行となった。現在、有料の商業広告、公共広告、政府からのメッセージのみの掲載が許可され、政治的広告は一切掲載されていない。今後、違法に掲載された政治的広告が見つかれば、撤去の対象となる。MTAの政治的広告による収益は広告収益全体の1%以下で、昨年度の広告収益1億3800万ドルのうち、わずか100万ドル以下だったという。 
 広告規定の改正は、ブロガーのパメラ・ゲラーさんによる、過激派イスラム教徒について警告する広告が引き金となった。MTAはこれらの広告の1つが暴力を扇動する可能性を懸念し、その掲載を差し止めようとしたが、約1週間前に連邦裁判所がMTAに同ポスターの掲載を許可するよう命じる判決を下した。
 同裁判所は、MTAの規定改正については承認している。ニューヨーク自由人権協会は、「公共交通機関は公共広場でありニューヨーク市のスピーチの中心部である」と禁止の撤回を訴えているが、利用者からは、「市には多様な人種が住む。広告は多くの人の怒りを買うかもしれない。禁止は懸命な決断だ」との声も聞かれた。