連載913 デジタル、サッカーW杯、国防問題、円安——。メディアもわれわれも時代の変化についていけない!(上)

連載913 デジタル、サッカーW杯、国防問題、円安——。メディアもわれわれも時代の変化についていけない!(上)

(この記事の初出は12月6日)

 いまこのとき、つくづく思うのは、時代の流れがあまりに早くてついていけないということだ。身の回りのことにしても、国や世界の動きにしても、かつてとは様相がまったく違ってしまっている。日本がサッカーW杯で予選を1位突破できると、誰が予想しただろうか? 国防費を増額し「反撃能力」(敵基地攻撃能力)を持たなければならいと、誰が考えただろうか? 円安が一転して大きく戻すと、誰が予想しただろうか?
 知らないうちに、世界はデジタルワールドになり、ネットワークなしでは私たちは生きていけなくなった。時間がスローに流れた昔が、いまは本当になつかしい。

 

アップルIDを乗っ取られて右往左往

 今回は、極めて個人的なことから書かせてもらいたい。
 先週金曜日に、PCを起動すると、「○○○○○(アップルIDのこと)に問題があるため、このMacを“iCloud”に接続できません。”iCloud”環境設定でこの問題を解決してください」と、ポップアップウインドウが開いた。驚いて、環境設定からアップルIDとパスワードを打ち込むと、何度やっても、最終認証で、「信頼できる電話番号」の末尾の数字が知らない数字になっていて、アクセスできなくなった。
 それで、これはどうしようもない、もしかしたらハッキングにあったのではと思い、アップルのサポートセンターに連絡した。チャットと電話で何度かやり取りした結果、「それはIDが乗っ取られていますね。アカウントは自動的にロックされています」と知らされた。
 まさか、こんなことが起こるとは思っていなかったので、本当に混乱した。結果から言うと、今後、iCloudほかアップルのサービスはすべて受けられないことになった。私の場合、iPhoneとPC2台(ともにマックブックエアー)、それにアップルウオッチをiCloudを通して同期していたので、その被害は甚大だ。右往左往して、どうしたらいいかまったくわからなくなった。

PC2台とアップルウオッチがダメに

 その後いろいろやった後に、最終的にアップルサポートに確認すると、アカウントのロックの解除は可能と告げられた。
 しかし、それは容易なことではなかった。
 まず、手続きのために、本人確認、購入証明(領収書の原本)などの書類をそろえなければならない。マックブックエアーを買ったのは10年ほど前のことなので、いまさら領収書と言われても、すでに捨ててしまっている。しかも、手続きには相当な時間がかり、さらに、ディバイスごとの個別申請で、やったとしてもすべて初期化してからの再スタートとなるという。
 つまり、諦めるほかないということなのか。
 「最近、この手の被害にあわれた方は本当に多いんです。山田さんの事情もわかりますが、確認手続きができない場合は、みなさん、諦めていただいています。」と、サポートセンターの人間。

デジタル、ネット生活は、健康によくない

 こうして私は、iCloudでネットワーク化しているマックブックエアー2台とアップルウオッチに関して、今後、アップルのサービスが利用できなくなった。つまり、iCloudにアップしているデータにアクセスできなくなったうえ、同期も不可能になってしまった。さらに、アップルウオッチに関しては、初期化したが、現状ではまったく使えなくなった。
 ただし、iPhoneだけは、アップルID解除のアプリを購入して試してみたら、なんとか初期化して再び使えるようになった。この点だけは、ホッとした。
 とはいえ、この、土、日は、データ修復、PSの変更などに追われ、ほぼ徹夜状態。とことん疲れてしまった。
 本当に、デジタル、ネット生活は、健康によくない。1日中、ネットに接続してなにかを行なっていなければならないからだ。ネットなどなかった昔のスローライフが、本当に懐かしい。いったい、なぜ、こんな時代、こんな暮らしになってしまったのだろうか?


(つづく)

この続きは12月21日(水)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

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