中国の気球、日本に危機感

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共同通信
4日、米サウスカロライナ州上空に飛来した中国の偵察用とみられる気球(Travis Huffstetler提供、ロイター=共同)

 中国の偵察気球を米軍が撃墜し、日本政府内で危機感が広がっている。日本でも過去、類似した飛行物体が目撃されていたものの、軍用か民間かの見極めは容易でなく、高高度を飛行中に自衛隊の能力で撃ち落とすのは困難とみられるためだ。武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」の新たなケースとして対処方針を検討しておくべきだとの指摘が出ている。

 浜田靖一防衛相は10日の記者会見で、昨年1月に九州西方で見つかった気球について「哨戒機による警戒監視活動で確認した」と説明。米中間で問題化するまで公表しなかった理由は「日本の情報収集能力が明らかになるため」と述べ、慎重に対応する姿勢を示した。

 自衛隊法では、航空機が領空侵犯する恐れがあれば、戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対処する。国民の生命に危害が加えられる危険がある場合は武器が使用できる。気球も同様で、浜田氏は「必要であれば実施する」と強調する。

 ただ、気球が仮に民間用の場合、武器使用の前に危険性や、軍用かどうかを判断する必要がある。