年に2回、ニューヨークシティをあげて行われるレストランウィークは、人気店や話題店の味を期間限定でランチが25ドル、ディナーが38ドルという安価で体験できるという夢のような瞬間。(ウィークと名がつくものの)約1カ月間にわたり開催されるといって、のんびり構えていたら大変! 残すところ、あと3日に迫っています。
300件という豊富なラインナップを誇るレストランウィーク。今期の参加店は、セレブシェフの手がける超のつく有名店が減ったかな、というのが正直な印象。だからこそ高級店や人気店の予約合戦は、タイミングが命! 食いしん坊ぶりでは誇れる私のベスト2をご紹介します。
肉が食べたいという友人を囲んでのディナーを前日予約するというミッションに、肉料理が美味しかった記憶のある地中海/中東料理の「イリリ」をチョイス。アペタイザーから2品、メインから1品、デザートから1品という4コースの満腹メニューで、肉食系女子たちも大満足。レバノン料理のひよこ豆で作ったディップ、フムスやハーブの効いた牛肉やラム肉、地中海風のステーキ・タルタルなど、特有のスパイスが効いたパンチのある料理がテーブルいっぱいに並べば、テンションが上がり、話にも花が咲きます。数人で行って、それぞれ違うものを頼んでシェアするのがいいでしょう。
そして、エレガントな雰囲気を楽しめるフランス料理はここぞとばかりに試したいもの。「ヌガティーン・アット・ジャン・ジョルジュ」は期間中はほぼ埋まっていて断念。しかし同氏が手がけるフレンチタッチなニューアメリカン料理の高級店、「ペリー・ストリート」は意外に見落とされていて、1週間前で予約を獲得。
ハドソンリバー沿いの白を基調にしたモダンでシンプルな店内は、とってもハイソな雰囲気。上品な少なめポーションを予想し、レストランウィークの2品に加え、通常メニューから同店のシグネチャーであれば間違いないだろうと、ライス・クラッカー・ツナを4人でシェア。アペタイザーには流行食材ブラタチーズのプレート。ここではモダンアートのようなプレゼンテーションでラズベリーソースをかけ、ハラペーニョをヒントにしたアイデア作に仕上がっています。アントレには、各フードレビューの中でベストフライドチキンとの好評価を多数獲得するひと皿の姿も。ナイフとフォークでサクサクのチキンを上品にいただきます。私が食したメインのサーモンはピンク色に美しくソテーされ、とにかく美味。お口の中でとろけるのなんの! いつもはこのひと皿だけで38ドルくらいするのだろう、とお得加減を見積もりながら味わえばなおさら満悦。文句なしで私のベストなひと皿となりました。デザートはうんと甘めのチョコレートケーキで締め、糖分にクラクラしながら至福の瞬間をかみしめて、帰路に着いたのでした。
フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
www.ayakomboo.com
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。