イースト川トンネルの修復に遅れ 連邦地裁が保険金に上限

 2012年10月に米北東部を襲ったハリケーン・サンディにより被害を受けたイースト川トンネルの修復費用として保険会社から支払われる保険金に対し、連邦地方裁判所が上限を設けたため、工事着手の遅れが懸念されている。
 同トンネルは、ハリケーン・サンディが上陸した際1400万ガロン(約5300万リットル)の水に浸水し、水が除去された後も残った浸食性のある塩や塩化物の影響で、地下構造物が劣化を続けているという。同トンネルを所有するアムトラックは昨年、数億ドルの費用をかけ、マンハッタン区のペンシルベニア駅とクイーンズ区を結ぶ4つのトンネルのうち2つを1年間にわたり閉鎖し、修復する計画を提案した。
 同社はことし初め、11億ドル(約1348億円)の保険金の支払いを求める訴えを起こしたが、連邦地裁は、保険会社が支払うべき保険金額を洪水による被害に支払われる保険金の上限である1億2500万ドル(約153億円)と定める判決を下した。アムトラックは、被害は風が原因の高潮によるもので洪水とは別のものであり、また、水による被害と海水の塩による被害は区別されるべきと主張していた。
 この金額では計画の設計にかかる費用は賄えても、建築に着手するには不十分であるという。アムトラック関係者は、このままの状態でトンネルを使い続けると大変危険な結果を招くことになると警告している。