開業から100年が過ぎたニューヨークの地下鉄で半世紀近く働き続けている整備士に注目が集まっている。
地下鉄の運賃がまだ30セントだった1970年3月に整備士としてニューヨーク州都市交通局(MTA)で働き始めたフランク・グレーラさんは、90歳の今も現役だ。以前航空関係の整備士を務めていた彼は、45年前にMTAに就職し、コニーアイランド製作所で毎日電車の修復や部品製作を行っている。第2次世界大戦も経験したベテラン整備士は、「壊れたものはどんな物であろうと修復するのが私の務め」と常に話している。
ブルックリン区で生まれ育ったグレーラさんは、妻が2年前に他界して今は家族がいない。しかし、「一緒に働く同僚たちが家族と同じ」と話す。同僚のトム・カラーノさんによると、「彼にとって整備士の仕事は趣味のようであり、仕事が本当に好きなことが伝わってくる」という。「ほかの整備士が文句を言いながら作業するなか、彼はいつも明るい表情で作業している」と話した。
酒やタバコなどに一切手を出さないのが健康の秘訣だというグレーラさんは、今のところ引退する予定はないという。