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共同通信
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【キースアン共同】米軍の兵士としてベトナム戦争に赴いた東部ニュージャージー州のピーター・マシューズさん(77)が、戦地から持ち帰ったベトナム兵の日記を返そうとベトナム中部ハティン省キースアンを訪れ、5日、遺族に直接手渡した。持ち主は長く不明だったが、返還を目指しサイトを立ち上げるなどして特定に成功、55年ぶりに故郷に日記を届けた。
地元当局や米紙によると、持ち主は同省出身のカオ・バン・トット氏。1967年12月に中部ビンディン省で従軍中、20代半ばで戦死した。
遺族は、遺骨は届かず遺品も少なかったと明らかにし「心温まる贈り物だ」と涙を浮かべて喜んだ。マシューズさんは「平和が戻って豊かになった。時間はかかったが、悲しみを幸せにできたならうれしい」と語り、遺族と握手した。
日記は手のひら大で90ページほど。文章の他に草花や鳥、風景のスケッチがつづられていた。
マシューズさんは67年、中部コントゥム省の激戦地にうち捨てられた、背のうから日記を見つけた。帰国後は屋根裏で大切に保管してきた。