原発安全対策費、6兆円超

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共同通信
宮城県の東北電力女川原発。左手前が2号機=2020年8月

 東京電力福島第1原発事故後の原発再稼働に向けた電力11社の安全対策費の合計が、1月時点で6兆890億円以上になることが9日、電力各社への取材で分かった。テロ対策の「特定重大事故等対処施設(特重施設)」の費用を計上していない社が複数あり、今後さらに膨らむ見通し。

 政府が原発の最大限活用を打ち出す中、建設費を大幅に上回る費用をかけた原発もあり、再稼働に向けた電力会社の巨額投資が改めて浮き彫りになった。

 11社15原発の支出済みと今後の見込みの合計額で、昨年1月時点では5兆7790億円だった。今回、東北電力女川原発2号機(宮城県)は2300億円、中国電力島根原発は800億円増えた。女川2号機と島根2号機は原子力規制委員会の審査に合格し、地元同意を既に得て再稼働に必要な工事を進めている。女川2号機の安全対策費は共用施設と特重施設を含め計7100億円で、3千億円規模だった建設費の2倍以上となる。

 事故後、規制委は新規制基準を決め、地震や津波への対策強化や過酷事故対策を義務付けた。