2001年に起きた世界同時多発テロで、救助や復興作業にあたり健康を害した者などを対象に医療や財政的支援の提供を定めた「ジェームズ・ザドロガ9.11健康補償法」が、連邦議会による延長手続きなど何の対応もなされないまま有効期限を迎え、1日午前0時をもって失効した。
同法が定める16億ドル(約1900億円)をかけた医療制度は、事件当時、倒壊した国際貿易センタービル(WTC)で働いていた生存者や近隣の住民、救助作業にあたった警官や消防士、復興作業員など、同時多発テロに関連する疾患で治療が必要となったニューヨーク州およびニュージャージー州に住む約7万人を対象とするもので、11年に一度期限が来たが更新されている。
両州の議員らは、同法を恒久的なものとすることを求め働きかけてきた。同制度の資金はまだ1年分残っているというが、連邦両院は同法が失効した現在も、再認可についての投票を行うか否か、またその日時についても明らかにしていない。
ニューヨーク市の市議会議員らは9月30日、連邦議会に対し迅速な対応を呼びかけ、ビル・デ・ブラシオ市長は「連邦議会は、われわれのヒーローたちよりも政治を優先するべきではない」との声明を発表した。