自衛隊中枢歩んだ坂本前師団長

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共同通信
陸上自衛隊第8師団の坂本雄一前師団長(防衛省提供)

 陸上自衛隊第8師団(熊本市)の坂本雄一前師団長(55)は、防衛政策の立案に携わったほか、部隊運用の司令塔を務めるなど自衛隊の中枢を歩んだエースだ。任務には厳格な姿勢で臨む一方、部下らを決して突き放さない「私利私欲とは無縁の人」(元同僚)。その懐の深さにほれ込んだ隊員は数多い。

 北海道旭川市出身。防衛大では少林寺拳法部で汗を流した。1991年に陸自に入り、米軍との調整役である統合幕僚監部防衛班長や、陸自の部隊運用を担う陸上総隊運用部長などを歴任した。

 第8師団は「機動師団」との位置付けで、南西諸島周辺で有事が起きた際には傘下部隊を展開することが想定されている。ある陸自幹部は「師団長への任命は、組織からの高い評価と大きな期待の表れだ」と解説する。

 事故は3月30日付で師団長に就いた1週間後だった。かつての部下は「早く自分の目で現場を確認したかったのだろう。坂本さんらしい」。

 別の元部下は「これからも間違いなく陸自を引っ張っていく存在だった」と涙を流した。