アスリート盗撮、置き去り

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共同通信
アスリートの性的な撮影被害や画像拡散の問題で、JOCなど7団体が発表した共同声明をデザイン化したボード。右奥から3人目は記者会見するスポーツ庁の室伏広治長官=2020年11月、文科省

 性的部位や下着を盗撮する行為を全国一律で取り締まる「性的姿態撮影罪」を新設する法案が今国会に提出されている。一方でスポーツ界が撲滅へ声を上げ、逮捕者も相次ぐアスリートへの迷惑撮影は「ユニホームの上からの撮影であり、性的意図の線引きが困難」として置き去りにされた状況だ。15日のシンポでは、弁護士やバレーボール元女子日本代表の大山加奈さんらが「残された課題」として法整備の必要性を訴えた。

 「着衣の上からの撮影だから問題がないとは、到底言えない。線引きが難しいからといって法規制を諦めてはいけない」。工藤洋治弁護士は諸外国事例も紹介した上で決意を語った。

 盗撮は、都道府県の迷惑防止条例違反などで摘発されてきた。だが条例は自治体によって対象行為や罰則が異なる。国会での成立を目指す「撮影罪」では、画像・動画の提供や拡散も罰することが含まれた。一方で下着が透けるように赤外線カメラを使って撮影した場合などを除き、競技中のユニホーム姿などの撮影行為は規制に盛り込まれなかった。

陸上の木南道孝記念で、観客席に向け掲げられた無許可での撮影禁止を示すプラカード=2020年10月、ヤンマースタジアム長居