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共同通信
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長崎市長選は23日、平和行政を推進してきた現職田上富久氏(66)の引退に伴う16年ぶりの新人同士の争いとなり、元国土交通省九州運輸局長の鈴木史朗氏(55)が元県議の赤木幸仁氏(38)との激戦を制した。
最後の被爆地である長崎市の市長は、毎年8月9日の式典で各国政府関係者らに「平和宣言」を読み上げるなど、核軍縮に向けた活動に携わる機会が多く、被爆者らは発信力強化を期待している。
田上氏の後継指名を受けた鈴木氏は23日、選挙事務所で「核のない世界の実現に向け、強力に取り組んでいきたい」と強調。選挙戦では、自らも被爆2世と明かし、「被爆者の思いを全世界に」と述べた。長崎の被爆体験を国内外に広く伝える考えという。
ただ、選挙期間中の論戦では深刻化する人口減少への対策が争点となり、立候補した4人の間では平和行政に関する議論は深まらなかった。
長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(82)は「歴代の市長も就任後に勉強して成長した。被爆の実相の原点に立った平和行政を」と、願いを託した。