NYで最高峰の狂言披露 「万作の会」、JSで

 マンハッタン区ミッドタウンイーストのジャパン・ソサエティーで10日、狂言師で人間国宝の野村万作さん率いる「万作の会」による3作品の狂言上演が初日を迎えた。
 俳優としても活躍する野村萬斎さんやベテラン狂言師の石田幸雄さんなども出演し、一流の狂言がニューヨークで見られるとあって、会場はほぼ満席。「盆山」では主人が盗人をからかう場面に大きな笑いが起こり、萬斎さんが大酒飲みを演じた「悪太郎」では、ユーモアのある表現と躍動感に客席は引き込まれた。また平家物語の著名な場面を描いた「奈須与市語」では、1人3役をこなした万作さんが圧倒的な存在感を見せつけた。
 全ての作品が終わると、会場は鳴り止まない拍手に包まれた。日米で狂言を見たことがあるという米国人女性は、「万作の会の狂言を見たのは初めて。迫力があって最高に素晴らしかった」と感想を述べた。
 開演の前には、ウェルズリー大学日本演劇学教授、キャロリン・モーリー氏が、3者の経歴や能面、衣装などについてのレクチャーを行い、上演される作品のあらすじをあらかじめ説明した。

「悪太郎」で共演する野村万作さん(左)と萬斎さん(右)(photo: © Ayumi Sakamoto)