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共同通信
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【ニューデリー共同】インド東部オディシャ州で288人が死亡した列車事故から9日で1週間。近年では世界最悪規模とされ、重要インフラである鉄道の安全性に課題を突き付けた。多くの出稼ぎ労働者が犠牲になり、弱者に厳しいインド社会の実情も浮かんだ。
インドでは首都ニューデリーなどで最新鋭の地下鉄が走り、日本の新幹線方式を採用した高速鉄道計画も進むが、長距離列車は安価な座席があり貧困層の重要な移動手段となってきた。鉄道省が管轄し運賃を低く抑えており、旅客部門の収益性は低いとされる。
政府の報告書によると、脱線事故による死者は2020年に160人に及んだ。日本と異なり線路への人の立ち入りは日常茶飯事で、激しい混雑のため外に身を乗り出すような危険な乗り方も横行している。18、19年は年間2万人以上が鉄道事故で死亡し、安全対策は不十分なままだ。
インド東部にはビハール州など国内でも特に貧しい州が集中。出稼ぎにより都市部の労働力を支える地域になっている。