大震災の日の「最後の乗客」は?
NY独立系映画祭で大好評
東日本大震災をめぐる人間模様を描いた短編映画「最後の乗客」(堀江貴監督)が11日、ニューヨーク市内でプレミア上映され、2会場を満席にする好評を得た。ニューヨーク・シティ・インディペンデント・フィルム映画祭最終日の上映で期間中の最大動員数を得た。
ストーリーの舞台は、宮城県。大震災から10年ぶりに、タクシー運転手遠藤(冨家規政)と娘のみずき(岩田華怜)が偶然の再会を果たす。震災の前日から上京し、音信不通だったみずきを待ち続けていた遠藤は、焦燥を隠せず娘に辛くあたる。ところが、突然タクシーが故障し、観客には予想もつかない時空を超えた和解の瞬間が訪れる。
会場では、宮城県出身の堀江監督、同県出身で元AKB48の岩田やソプラノ歌手、青木麻菜美が質疑応答に応じた。 「この映画であの日を思い出す人も忘れたいという人もいる。映画はどちらも大丈夫、と肯定している」(岩田)「震災後に駅で歌ってくれた人を見て、音楽の世界に飛び込んだ。人生を変えた」(青木) 堀江監督はインタビューで、「震災にテーマを絞ると世界には刺さらないと思った。父と娘の関係を軸にして、喧嘩をしても、次の瞬間何が起こるか分からない。生きている時の貴重な瞬間を大切にしてほしいと伝えたかった」と語った。
サンディエゴ・アート・フィルム・フェスティバル最優秀インディペンデント映画賞、カンヌ・ワールド・フィルム・フェスティバル最優秀インディペンデント映画賞など受賞も続いている。(敬称略、文、津山恵子)
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