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共同通信
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政府税制調査会(首相の諮問機関)は30日、同じ会社に長く勤めるほど退職金への課税が優遇される現行制度の見直しを検討するよう求める中期答申を岸田文雄首相に提出した。特定の会社に属さないフリーランスや、子育てをしながら在宅で仕事を請け負うといった多様な働き方への対応を促した。答申は第2次安倍政権下の2019年以来、4年ぶりとなった。
退職金課税の見直しは、政府が16日に閣議決定した経済財政運営の「骨太方針」と成長戦略の「新しい資本主義実行計画」に盛り込まれた。答申は、年功序列を前提とした雇用慣行からの転換を図り、成長産業に労働力を集中したい岸田政権に追い風になりそうだ。実際に見直すか、与党の税制調査会が税制改正議論の過程で決める。
現行制度は、退職金から控除額を引いた金額の2分の1に所得税と住民税が課せられる。控除額は勤続20年まで毎年40万円、20年超では毎年70万円が積み上がる。政府税調は「退職金の支給形態や労働市場の動向に応じて税制上も対応を検討する必要が生じている」と指摘した。