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共同通信
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環境省のレッドリストで絶滅危惧種などに指定されている国内の生物約5800種のうち、ゲノム(全遺伝情報)が解読され、データベースに登録されているのは86種(1.5%)にとどまることが、国立遺伝学研究所と兵庫県立大のチームの調査で22日、分かった。希少な生物の保全に重要な情報が足りない状況で、研究者は早急な対応が必要と訴えている。
ゲノムは生物の体の構造や暮らし方を決める「設計図」で、詳しく調べれば病気のなりやすさや絶滅の危険性、過去からの個体数の変化といった情報を得られる。種の保全に生かせると注目されているが、国内にいる希少種のゲノムの解読状況は不明だった。
チームは、世界中で解読された生物のゲノムが登録される米国立生物工学情報センターのデータベースを活用。環境省のレッドリストに載っている約5800種のゲノムの有無を調べた結果、登録されていたのは86種のみだった。
生物の分類別にみると、比較的多かった哺乳類と鳥類でも10%台にとどまり、両生類や藻類、地衣類などはゼロだった。