21日付のニューヨーク・タイムズによると、ごみをあさる人によって、ニューヨーク市のリサイクル活動が危機にさらされているという。
市清掃局が公開した、重苦しいピアノの音で始まるビデオには、ごみの山をかき分けてがつがつとビンを集める男、カンで一杯になったショッピングカートをとぼとぼと引く女の姿が映し出されている。画面には、「犯行現場」の黄色いテープが大きく映る。
ごみは道路に捨てられた瞬間から、市の頭痛の種であるとともに所有物でもある。その中で、ダンボールや金属などは立派なリサイクルの対象。“ごみの山は宝の山”とばかりに、そうした対象物をあさり、横流して稼ぐのは立派な犯罪というのが市の言い分だ。
横流しされたごみも、最終的にはリサイクルに回る。ただし、このルートは市のリサイクル率計算の対象外となるため、現在のリサイクル率は16%という低い結果になっている。リサイクル活動の先駆け、サンフランシスコ市の80%は言うに及ばず、全米都市平均の34%の半分以下に甘んじているのである。
昨年4月、ビル・デ・ブラシオ市長は、2030年までにごみ埋め立て廃絶という積極的なごみの削減政策を発表した。また20年までに、リサイクル率を25%にする目標も制定されている。
昨今、ごみの盗難は集団化しているという。市では、特にそうした悪質な組織犯罪の取締を強化し、目標達成の努力を続けたいとしている。