資金枯渇で工事中止も  MTA、州政府の予算承認進まず 

 24日付のエーエム・ニューヨークによると、ニューヨーク州都市交通局(MTA)の最高経営責任者トーマス・プレンダーガスト氏は23日、同局が申請中の総額261億ドル(約2兆9000億円)の資本予算が州政府に承認されなければ、6月30日までに資金が底をつき、新規の工事契約や資材購入ができなくなることを明らかにした。
 これは年間運営予算とは別に、インフラ整備や新規工事のために立てられた「2015~19年資本計画」に基づく予算で、MTAは2014年9月からこれまで、州の資本計画検討委員会の承認を待っている状態だ。
 同資本計画は連邦政府のほか、州と市も共同出資するもの。アンドリュー・クオモ州知事とビル・デ・ブラシオ市長は昨年10月、市が32億ドル(約3600億円)、州が83億ドル(約9300億円)、MTAが170億ドル(約1兆9000億円)を負担することで同意したが、州側は現在までこれを正式に検討できていない。理由は州政府の資金源のめどが立たないためで、これまで管轄内の橋やトンネルの通行有料化、社債発行案などが挙がったものの、どれも内部で同意が得られなかったためだという。
 MTAは現在、ロングアイランド鉄道とグランドセントラル駅をつなぐイーストサイドアクセス工事などを進めているが、このまま資金繰りができなければ、工事が中止となる恐れもあるという。

チェンバー通り駅を視察するクオモ州知事とプレンダーガスト氏(photo: Metropolitan Transportation Authority of the State of New York)