「罪に問わない」と言われ押印

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共同通信
記者会見する元広島市議の木戸経康被告(右)=30日午後、広島市

 2019年参院選広島選挙区の買収事件で、河井克行元法相(60)=実刑確定=から現金を受け取ったとして公選法違反(被買収)の罪に問われた元広島市議木戸経康被告(68)の公判が30日、広島地裁で開かれた。被告は東京地検特捜部の検事らに供述を誘導されたと主張しており、この日の被告人質問で「検事に『罪に問わない、議員を続けられる』と言われ、(認識と違う)調書に印を押した」と述べた。

 元法相から渡された封筒に、現金が入っているとは思わなかったと説明。20年4月の任意聴取で、検事に「否認すると家宅捜索など強制捜査になる」と言われ「検事に従うしかない」と感じ、買収の意図を認識していたとする調書の作成に応じたとした。

 元法相の公判に出廷するのに備え、事前に事実関係を確認する「証人テスト」でも、木戸被告は別の検事に細かく答え方を指導され、自身の認識と違う内容を証言したと話した。検事に「洗脳された」とも述べた。

 弁護側は、任意聴取と証人テストを担当した検事2人を証人申請したが、後藤有己裁判長は却下した。