クレジットカードなどの支払いが滞った場合、債権者より訴訟を起こされる場合があります。また反対に、せっかく訴訟で勝ったのに相手から支払いがない、といった訴えも聞きます。今回は、被告側から裁判で決まった支払いがない場合のその後の進行について簡単にご説明致します。
銀行口座凍結
裁判で決定した額が高額でない場合、いちばん簡単に差し押さえが可能なのが被告の銀行口座の凍結です。ただし、被告の銀行口座が分からない場合は、自分で探す必要があります。弁護士を使わずに自分で行う場合は、命令が出た裁判所のクラークに情報召喚状(Information Subpoena)の署名を求め、その後、被告の口座がありそうな銀行に送付し、情報開示を求めます。口座が見つかったら、銀行には口座凍結通知(Restraining Order)を送付します。実際の差し押さえは保安官が行い、原告がその費用を支払います。
差し押さえ例外
401kなどのリタイアメント口座は基本的に差し押さえができません。また、ニューヨーク州では、銀行口座残高が2100ドル(約22万円)以下、または被告が次のようなベネフィットを振り込みで受け取っている場合は、2750ドル(約29万円)までが控除となります。
・ソーシャルセキュリティ・障害年金・元配偶者へのサポートあるいは養育費・生活保護・生活保護補足手当・労災など
給与の天引き
被告の勤務先が分かっている場合は、被告の給与より命令金額の差し押さえができます。しかし、こちらにも控除があり、被告の所得税などを引いた(健康保険や401kの積み立ては含まない)手取り額が州の最低賃金9ドル(ニューヨーク州)の30倍を超えない場合は差し押さえができません。州の最低賃金の30倍は270ドル(約2万9千円)になりますので、手取り額がそれ以下の場合は控除となります。
不動産などの資産差し押さえ
被告に不動産やそのほかの資産、例えば車やボート、個人で扱う商品などの資産がある場合は、その資産に担保を付けたり、あるいは保安官に被告の資産をオークションで販売してもらうこともできます。
差し押さえの解除
被告側が例えば裁判の書類を一度も受け取っておらず、不当に裁判所の命令が出されたと思えば、その命令が出た裁判所に行って判決をいったん無効にしてもらうことが可能です。
☆差し押さえの手続きは、裁判所か弁護士にお尋ねください。
今月のお店
Madman Espresso
235 W 35th St (bet 7th & 8th Ave) ※そのほか市内に4店
Yelpなどで好評のローカルコーヒーチェーン。ミッドタウンとグリニッチ、イーストビレッジなどに計5店。
飯島真由美 弁護士事務所
mciijima@iinylaw.com / www.iinylaw.com
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。