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共同通信
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自衛隊と中国軍の佐官級中堅幹部による交流事業を巡り、中国側が9月に予定していた来日の延期を伝えていたことが分かった。事業の日本側窓口を担う笹川平和財団に「都合が付かない」との連絡があった。年内の来日は困難な見通しだ。関係者が12日、明らかにした。福島第1原発処理水の海洋放出に対する中国側の反発が影響したとみられる。
交流事業は今年、新型コロナ禍による中断を経て4年ぶりに再開され、7月に自衛隊代表団が訪中した。中国側は9月中~下旬に来日し、防衛省幹部への表敬や陸海空3自衛隊の施設での研修などを行う方向で調整していた。
関係者によると、8月中旬ごろまでは具体的な日程が組まれていた。しかし8月24日に処理水の海洋放出が始まると、中国政府は「核汚染水」と呼んで非難。その後、防衛省側に延期の連絡があったという。
日中の佐官交流事業は笹川平和財団と中国軍系シンクタンク・中国国際戦略学会が窓口となり2001年に開始。12年9月の沖縄県・尖閣諸島国有化で関係が悪化した際にも途絶え、18年に再開された。