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共同通信
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政府が出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構は15日、運営委員会を開き、東京電力福島第1原発事故の被災者賠償の拡大に伴う東電への資金援助増額に向けた議論を始めた。処理水の海洋放出関連の賠償が加わるのが要因で、廃炉なども含めた事故対応費用の総額が政府試算の21兆5千億円から上振れすることになる。年内に必要額を精査し、結論を出す。
賠償費用は最終的に東電だけでなく各電力会社も負担する形となっており、電気料金の値上げにより家計負担が増す恐れがある。
政府が試算する事故対応費用のうち廃炉費用を除く13兆5千億円は、東電からの支払いが滞ることのないように、国が交付国債を発行し、支援機構を通じ、無利子で東電に貸し付けて援助している。
処理水の海洋放出に伴う風評被害の賠償が増えることなどから、15日の運営委員会では早ければ2024年度にも援助額が上限の13兆5千億円を超える見通しが示された。運営委に出席した村瀬佳史資源エネルギー庁長官は、東電への支援に関し「限度額に近づきつつある」と述べた。