BentOn/BentOn Cafe

10年前から米国で“BENTOカルチャー”を普及してきたBentOnの古川徹社長は、ことし3月クイーンズ区ロングアイランドに新社屋を構えた。今、BentOnはさらなるBENTOビジネスの拡大にチャレンジしている。

新拠点から拡張するBentOnブランド

 クイーンズボロ駅近くの住宅街に突如現れる黒い外壁のビルは、BentOnの本社事務所とセントラルキッチンを兼ねた新社屋だ。社員がベルトコンベアの前に並び、効率良く弁当を詰めることができる広々としたスペースや、鮮度が高いうちに食材のおいしさはそのまま、急速に冷やすことができる瞬間冷却機の導入などのインフラが整ったことで、3000食を5時間で作ることが可能だという。

清潔な工場では、ベルトコンベアで次々と弁当が詰められていく

 今後はマンハッタン区内にカフェスペースを併設した「BentOn Cafe」を10店舗まで増やしていく計画だ。「マンハッタン区だけでもまだまだBENTOの需要はあります」と、古川社長は力強く話す。

出荷を待つ弁当。彩り良くバランスの取れたこれらのメニューは、全て古川社長が考案

米国から再び日本へ?進化するBENTOカルチャー

 もともと古川社長は、日系駐在員向けの弁当ビジネスに取り組んできたが、2008年のリーマンショックを発端に駐在員が減少。そのときに日本人だけに向けた「弁当」ではなく、米国人にも食べてもらえる「BENTO」の必要性を確信した。
 BENTOはクールでヘルシー、そしておいしい「ファストフード」。古川社長は、ローカルの食材を和食に取り入れるなど、誰にでもおいしいと思ってもらえるオリジナルメニューの開発に勤しんでBentOnを育ててきた。

自らを「BENTOオタク」と語る古川社長。新社屋前で

 13年に始めたBENTOの新スタイル「BENTO on de-mand(※)」は、自分の好きなメインとおかずを選び、オリジナルの弁当が作れるとあって、米国人に大ヒット。このスタイルを取り入れた「BentOn Cafe ダウンタウン店」は、今では95%が米国人客だという。
 古川社長の野望を聞くと、「いつかアカデミー賞にBENTOを提供してみたいし、NY発の“BENTO”として日本に逆輸入してみたい」とのこと。まだまだBENTOカルチャーには無限の可能性があり、夢は尽きないようだ。

BentOn/BentOn Cafe

●本社 718-392-3686(39-BENTO)
 37-39 Crescent St, Queens
●ミッドタウン店 212-922-9788
 156 E 45th St(bet 3rd & Lexington Ave)
●ダウンタウン店 212-608-8850
 123 William St(bet Fulton & John St)
www.benton.nyc
www.bentoncafe.nyc