スマホ電波求め接近、座礁と結論

Published by
共同通信
インド洋のモーリシャス沖で座礁し船体が二つに割れた貨物船「WAKASHIO」=2020年8月(運輸安全委員会提供)

 インド洋のモーリシャス沖で2020年、日本の貨物船が座礁し重油が大量流出した事故で、運輸安全委員会は28日、調査報告書を公表し、スマートフォンの電波を受信しようと島に近づいたのが原因と結論づけた。新型コロナウイルスの水際対策などの影響で対処に時間がかかり、油流出の被害が拡大した可能性があるとも指摘した。

 安全委は原因究明と再発防止に向け、約3年をかけ調査。過去にも電波を受信する目的で陸地への接近を繰り返していたとして、安全運航に関する意識の低下が事故につながったと判断した。

 報告書によると、長鋪汽船(岡山県)が実質的に保有し、管理する貨物船「WAKASHIO(わかしお)」(10万1932トン、20人乗り組み)は、付近の詳細な海図がないのに、電波受信のためインド人船長の指示で航海計画を変更し島に接近。船長とスリランカ人1等航海士がスマホの通信状況に意識を向けたまま航行を続け、浅瀬に乗り上げた。

 船長は乗組員の誕生日会に参加してウイスキーの水割りを2杯程度飲んでいた。