帰国子女生の大きなサポートを担う日系学習塾、主要教科の指導や入学試験対策に留まらず、子ども達が前向きに学習を継続できるよう、サポート方法にも工夫が見受けられます。各塾での取り組みなどをご紹介します。
ena国際部ニューヨーク校
―塾の特徴をお伺いします
ena国際部は「海外でがんばる子を応援する塾」として帰国生・国際生を指導し36年になります。アメリカ東海岸地区では、帰国生のための塾として最も長い歴史を持っており、その実績はどこにもひけをとらないと自負しております。年少から低学年を対象としたC’ena部から大学受験準備をする高校部まで、幅広い年齢の子ども達が日々頑張っています。受験学年はもちろん、非受験学年の指導に力を入れることが大切だと考えています。と言いますのも、子ども達は心体共に大きな成長を遂げる時期に、アメリカという国で生活を送っています。母国語と第二言語を使いこなせることは、言語習得だけでなく、言語野を含めた様々な領域の機能が強化されると言われています。これをバイリンガル脳と呼んでいます。この時期に、脳に様々な刺激を与えて欲しいと国語・算数、そして英語のクラスを開講しており、どのクラスも経験豊富な講師陣が指導しています。保護者の方には受験科目に関係なく3科目をバランスよく習得して欲しいとお伝えし、現地校に通いながら塾の学びが両立できる時間割で生徒たちの頑張りを応援しています。また、日本校と海外校の連携もしっかりと行い、帰国後は日本にある国際部で帰国教育を継続いただけるよう、受け入れる体制を整えています。
―帰国生が日本で受け入れられるために、アメリカでの学習・経験において生徒が意識した方が良いことなどありますでしょうか
こちらにやってくる生徒達の多くは、転校を経験し「友達が全くいない+英語が流ちょうに話せない」スタート地点に立たされます。そんな彼らが、様々な経験を積み、日々の生活を自分らしく楽しめるまでに成長していく姿には強い生命力を感じます。その苦労の一つに「学び」があり、毎週私たちの元で自立心をもって幅広い教養を「頑張って」培っています。また、勉強に限らず大切な「学び」はたくさんあります。スポーツ、旅行、友達を交えて遊ぶ時間も欲張って経験してほしいです。豊かな学びを継続するためには、Grit「やりぬく力」が必要です。現地校の勉強が大変な時や、旅行などのイベントで疲れていても、塾は休まず宿題は必ず提出する習慣。一見シンプルですが、継続するのは大変で、保護者の協力が不可欠です。当塾では、振替授業やオンライン授業への切り替えなどにも対応しています。本人がやると決めたら、日本帰国日まで日本語の学びを大事にする学習環境を大事にしています。
彼らを取り巻く環境が、成長期のバイリンガル脳にたくさんの刺激を与え、人としてのたくましさや優しさといった魅力になっているのだと思います。これは単純に英語と日本語が流ちょうに操れるという技術的なことだけではなく、苦労や経験が人々を魅了する個性となっています。ただし、欲張るにはタイムマネジメントとタスク管理が必要です。つまり、けじめですね。保護者の方には子どものやる気に頼らず学びを習慣として生活の中に取り入れていただきたいとお話ししています。これらの「頑張り」が帰国後の自信になり、子ども達を輝かせることでしょう。海外生活前の自分を比べ、頑張った自分をほめてあげられる経験をした子ども達は帰国後もポジティブに、柔軟に成長していけることでしょう。
お話を伺った方
町長 扶実子さん
シンガポールとNYで28年の指導経験があります。塾の先生は自分を選んでくれた生徒に、ベストだと思う方法で指導ができるという点に魅力を感じ、この仕事を選びました。生徒の前で思いっきり授業が出来ることが楽しくてたまりません。また、母として二人のバイリンガルを育て大学に入れましたので、保護者側の悩みも理解できます。魅力のある先生の指導が生徒にとって一番の「やる気」につながると信じているので、生徒の前に立つときには人を引き付ける存在でありたいと意識しています。
ena国際部ニューヨーク校
450 Mamaroneck Ave, Suite 409
Harrison, NY 10528
Tel 914-777-1099
http://www.ena-kikoku.com/school/newyork/
