遺族に真摯な謝罪なく慰謝料考慮

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共同通信
判決後、記者会見する松永拓也さん(右)と亡くなった真菜さんの父上原義教さん=27日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 2019年の東京・池袋の乗用車暴走事故を巡る訴訟で、車を運転していた旧通産省工業技術院元院長飯塚幸三受刑者(92)=禁錮5年の実刑確定=に計約1億4千万円の損害賠償を命じた27日の東京地裁判決は、妻子を亡くした松永拓也さん(37)ら遺族に対し、受刑者が真摯な謝罪をしておらず「慰謝料算定で重要な一事情として考慮すべきだ」と判断した。

 平山馨裁判長は、飯塚受刑者が事故後に「ひとまずの道義的な謝罪すらせず、刑事事件での判決が出るまで不合理な弁解を続けた」と指摘。刑事手続きでの防御権が保障されているとしても「遺族の心情を逆なでする行為だ」とした。

 飯塚受刑者が、医師から運転は必要最小限とするよう指導されていたのに、事故当日、レストランに行く目的で運転したことを踏まえ「必須と認め難く安易だ。原告らが憤りを募らせるのも無理はない」とした。

 判決によると、事故は19年4月19日に発生。9人が重軽傷を負い、松永さんの妻真菜さん=当時(31)=と、長女莉子ちゃん=同(3)=が亡くなった。