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共同通信
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臨時国会開会式で、額賀福志郎衆院議長が自ら読んだ式辞を天皇陛下に手渡すミスがあった。「緊張した結果」で、手順を忘れた中での行動だったようだ。しかし、図らずも民主主義の根幹である国会で、その長が国民に届けるべき宣言を天皇にささげる形に。識者からは「天皇主権だった戦前の反省に基づく戦後民主主義や現行憲法を理解しているのか」と、資質を危ぶむ声も聞かれる。
日本国憲法の精神を体し、国民の信託に応える―。20日午後の参院本会議場。額賀氏はこう宣言すると、背後の階段の上に座られていた陛下に歩み寄り頭を下げ、式辞を手渡した。前代未聞の行為。陛下は側近らに確認の目線を向けた後、両手で丁寧に受け取った。
額賀氏は記者会見で「若干ミスがあった。緊張した結果で反省している」とし、皇居に出向いた際に宮内庁の西村泰彦長官に謝罪した。
政府や国会関係者は単純な手違いとして事態の収拾を図ったが、法政大大学院の白鳥浩教授は「議長の資質が問われる問題。戦後憲法の精神を尊重していれば起こり得たミスだろうか」と首をかしげる。